初の施設見学は突然に
4月24日、水曜日。
地元の地域包括支援センターを訪れ、施設探しの相談をしたところ、予想外の展開です。
いきなり施設を見学することになりました。
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訪れた施設は自宅から徒歩10分弱。
1階が小規模多機能型居宅介護、2・3階がグループホーム。
パッと見、アパートのような外観です。
地域包括支援センターのケアマネさんが予約を入れてくれたので、突然でしたが、スムーズに対応してもらえました。
まずグループホームを見学。
1フロア9床の2ユニット、つまり計18人が定員です。
最大9人のユニットで共同生活をしています。
2階を見学しましたが、ちょうど入所者の皆さんがリビングダイニングのようなスペースでおやつの時間でした。
認知症の人ばかりなので、皆さんほわっとした表情で、テレビを見ながらくつろいでいました。
後で複数の人から「グループホームは認知症対象なので、活気がなくて嫌がる人もいる」と言われましたが、ウチの母なんて、軽い認知症的な症状があるだけでなく、元々言動が認知症的に噛み合わないので(笑)全然問題ありません。
むしろ、周りがしっかり活動的すぎない方がいい。
みんなでおやつの時間とかあれば、食の細い母も食べるかもしれないし、もうホント、十分すぎるくらいです。
リビングダイニングにはキッチンも付いていて、基本的にはスタッフが調理しますが、できる人には手伝ってもらうとの説明を受けました。
グループホームってそういうコンセプトのようですね。
できることは自分でやったり手伝ったり。
そういうアットホームな感じは母に向いていそうです。
続いて個室を見学。
室内はシンプルで、ベッドとチェストと簡単な収納くらいしかありませんが、母が今ウチで使っている部屋より広いし、十分です。
仏壇など持ち込みたい家具があれば、部屋に入る範囲で持ち込めるそうです。
お風呂やトイレも要介護5に対応しているだけあって、設備も整っているし、介助もしてくれるし。
案内してくれた人が気さくな感じで「出来の悪い娘というつもりでお世話させてもらっているんです」とサラッと言ってくれたのも好印象でした。
母には贅沢品は不要なので、人との繋がりができて、かつ謎の言動にも寛容なこういう場はピッタリだと思いました。
1階は小規模多機能ですが、基本的な作りはグループホームと同様です。
見学の後、グループホームと小規模多機能のスタッフからそれぞれ説明を受けました。
この時に出してくれたお茶が美味しかったこと!
緑茶は好きではなく基本的に飲まない私が美味しいと思ったのですから、淹れ方が上手なのだと思います。
こういうちょっとしたところがちゃんとしてると、信用できますね。
即決です!
小規模多機能の利用申し込みと、グループホームの空き待ちの登録をすることにしました。
介護サービスを利用するためには、施設のケアマネさんが母と面談して、介護プランを作成する必要があります。
後日、ウチに来ていただいて、正式に契約。
とりあえず小規模多機能で週2回お世話になることにしました。
小規模多機能は定額の介護サービスです。
母の場合は介護認定申請中ですから定まっていませんが、「要介護1は出るでしょう」という予測のもと、お願いしました。
要介護1の場合、基本料金は月額107,844円(地域で傾斜があるようです)、自己負担1割で10,785円。
認知症加算や職員処遇改善加算など計数千円が加わり、さらに実費で食費や宿泊費、オムツ代などが加算されます。
実費以外は1カ月定額なので、お得感あるシステムだと思います。
当初は「通い」と「泊まり」を週1回ずつのつもりでしたが、母が期待以上に気に入った様子で、特に「泊まり」の後の方が元気になって帰ってくるので、今は週2回「泊まり」を基本にしています。
朝食を済ませてからお迎えに来ていただき、一泊して翌日は夕食まで済ませてから送っていただいています。
一泊(宿泊費)+5食の実費は6,050円。
週2回なので、月8回なら、6,050×8=48,400円。
定額部分を加えて、1カ月6万円台です。
週3回でもプラス24,200円ですから、入所する場合と比べるとだいぶ金銭的負担は少なくて済みます。
とりあえず、右も左も分からなかった状態から一変し、とりあえずは「ここ」と思える施設が見つかって、ホッとしました。
介護サービスを受けることで、私たち夫婦の負担も軽減されます。
見学をした4月24日、ようやく少し気持ちが落ち着き、このブログ「突然!介護生活」を立ち上げました。
今までの混乱を整理して、文字にすることができる状態になったのだと思います。
あとは入所先を決めなくては。
母も馴染んできたし、近いし、お安めだし、やはりここのグループホームがいい!と思う一方で、ここは「終のすみか」にならないという点が気になっています。
今は満室だけど遠くない将来空きが出そう……なのですが、それは裏返せば、定期的に他へ移らざるを得ない人が出てくるということです。
何か医療的ケアが必要になれば、入院するなり、別の施設に移るなり、何か対応しなければならない。
だったら「終のすみか」を最初から見つけた方がいいかなーと思ったりもします。
やっぱり、一応、ほかのところも探してみましょう。
*追記
「グループホームは終のすみかにならない」とは言い切れないことが後日判明しました。
グループホームと小規模多機能
4月24日(水)に地域包括支援センターを訪れました。
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そこで対応してくれたケアマネさんは、母の入所先として「グループホーム」を提案してくれました。
グループホーム?
名前は聞いたことあるけど、デイサービスとかショートステイのような介護サービスの一種かと思っていました。
入所施設の一種だったとは!
グループホームとは
- 認知症の高齢者が対象
- 地域密着型
- 小規模でアットホームな雰囲気
- 費用はお安め
と、まあ、確かに、ウチの母には合っていそうな感じです。
さらにケアマネさんからは「入所を待たず、すぐにでも介護サービスを利用した方が良いのでは?」と聞かれました。
介護認定前でも、介護サービスは利用できるんですね!
これも知りませんでした。
確かに、母との同居が始まって1カ月、夫婦ともども早くも疲弊しています。
私は疲れ切って仕事を休んだり。
夫は、当初は私より、よっぽど母に対して同情的だったのですが、早くも「人ってこうして殺意を持つようになるんだって、初めて分かった」と衝撃発言……。
一方、母は母で、食事以外は一人でずっと寝てばかり。
私たちが仕事であまり家にいないことが大きいのですが、私たちが疲弊し、母となるべく関わりたくないと思ってしまっていることも当然影響しています。
悪循環です。
母は食事もほとんど摂りません。
「ずっと寝てるからお腹すかない」と言います。
でも、いくら寝てばかりとは言っても、食べなさすぎです。
一人暮らしの時よりはマシですが、現状のままで良いとはとても言えません。
介護サービスを利用することで、私たちにとっては負担軽減になり、母にとっては半寝たきり状態から脱出することが期待されます!
相談に訪れた地域包括支援センターから徒歩5分ほどにグループホームの施設があり、そこは「小規模多機能型居宅介護」というのも併設しているとのこと。
小規模多機能……??(全部覚えられない)
これは初めて聞く名前です。
通い、泊まり、訪問といった介護サービスを、パッケージで提供してくれるらしいです。
と言われても、正直なところイメージ湧きませんでしたが、利用できるならできるだけ早く利用したいです!
「すぐそこなので、時間があるなら見学していきませんか?」とケアマネさんに勧められ、本当は別の用事があったのですが「行ってみます!」と即答。
すると、ケアマネさんは施設に電話して見学のOKをとってくれただけでなく、現在グループホームは満室であること、順番待ちも常時4人程度いること、でもその順番待ちは「あってないようなもの」であることを聞き出してくれました。
本当にこのケアマネさんは頼りになります!
でも、この方は「要支援」担当だそうで、「要介護」になると別のケアマネさんが担当になるそうです。
母は認知症の症状があるので「要介護1は出るのでは」というのがこのケアマネさんの読みでしたから、その通りなら、この方にお世話になり続けることはできません。
しかも今から見学に行く施設は、施設にケアマネさんがいるので、そこのサービスを利用するなら、施設のケアマネさんが担当になるとのこと。
会社の同僚から「ケアマネは選べるから早く動いて自分で選ぶべし」と助言をもらいましたが、「自分で選ぶ」って、なかなか簡単ではなさそうです。
施設入所、予算は?
母を介護することになって、どうしていいか分からず、ネットでいろいろ調べた時に最初に知ったのが「地域包括支援センター」でした。
高齢者が地域で生きることを支援するための公的機関です。
ケアマネさんもいて、介護認定、介護サービス、施設探しなど、いろいろ相談に乗ってくれます。
とても頼りになりそう!
最初に母からSOSの電話があった時、実家の地域を担当する地域包括支援センターにお世話になりました。
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でも、公的機関なので、平日の日中しか対応してもらえません(緊急の場合は別かもしれませんが)。
タイミングが合わず後回しになっていましたが、4月24日水曜日、仕事を休んでようやく、ウチから徒歩7分の事務所を訪れました。
事前に連絡もせず突然訪れましたが、女性のケアマネさんがしっかり対応してくれました。
やはり、前回書いた「保健師さんからの質問」とほぼ同じ質問からスタート。
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- 母の性格や希望
- 認知度、介護度あるいは生活能力
- 私の希望や費用
1「母の性格」については「末っ子で甘やかされて育ったので全てお膳立てされて当たり前と思っているようなところがある。偏食も激しい」と伝えました。
この質問は本来「施設で団体生活ができるか」を見極めるための質問と思われますが、母が施設に馴染めるのか、正直よく分からず、遠回しな説明になっています。
また、母は施設入所なんて夢にも思っていないので、もちろん「母の希望」もなく、本人を説得できるかどうかは課題ということも伝えました。
2「介護度」は申請中なのではっきり分かりませんが、母の現状を説明したところ「断言はできないけれど、認知症の症状があるので、要支援にとどまることはないのでは。要介護1は出ると思う。でも要介護3は難しいかなあ」と言われました。
このケアマネさん、けっこう踏み込んで、本音ベースで話してくれます。
頼れる感じで、個人的には気に入りました。
3「私の希望」は「仕事と介護の両立は無理なので施設に預けたい」「母はうちに一人でいると、半寝たきりのような状態になってしまうので、散歩や体操などをしてもらいたい」という程度。
お風呂に入れてもらったり、食事させてもらえれば、それだけですごく助かります。
一方、豪華な住まいや、充実したレクリエーションは不要。
シンプルに最低限の対応をしてもらえれば十分と考えています。
そして「費用」。
施設選びで一番のポイントは、やはり予算です。
いくら希望に合った施設でも、無い袖は振れない。
母の入所にどれだけお金を費やせるのか、随分考えました。
母の収入は年金のみ、2カ月で約15万円です。
預貯金もゼロ。
趣味などもなくお金を使わないので、そんな収入でも、今までは十分暮らしていました。
でも、施設に入るには全然足りません。
私が母のために月々いくら支出できるか、です。
私自身は会社員になって30年弱。
現時点ではそれなりの収入がありますが、まもなく給料が減り始めるお年頃で、会社の先輩たちの噂では月10万〜15万円減るなんて話も聞きます。
その収入減にどう対応するか悩んでいたところでした。
それに加えて母の施設代。
「月額20万円」の施設に入れたとしても、私の収入から12万円以上は持ち出しになります。
収入減と合わせると、現在と比べて月20万〜30万円の負担増。
正直言って、かなり苦しい。
っていうか無理。
なので、とにかく、施設の費用は「安いに越したことはない」というのが本音です。
地域包括支援センターでもそんな感じで説明したところ、ケアマネさんは「グループホームが一番いいんじゃないかと思います」とおっしゃいました。
グループホーム?
名前は聞いたことがあるけど、何のことかまったく知らず。
でも、ここから事態は動いていきました。
いい施設、どう探す?
3月31日、日曜日。
この日は年度末のため、母の住所があった自治体では、一部の出張所で転出や転入などの手続きを受け付けていました。
ネットでその情報を見つけたため、これ幸いと転出手続きをしてしまいました。
もし、この日に手続きできなかったら、あるいは転居させずに、元々住んでいた自治体で介護認定の手続きをしていたかもしれません。
このグッドタイミングは、住民票移動に迷っていた私の背中を押してくれました。
この転出手続きをした出張所の周辺では、桜が満開でした。
ブログタイトルの背景やアイキャッチ画像に使用している写真は、この時に撮影したものです。
いつか介護と無縁な生活に戻ることがあっても、満開の桜を見ると、介護生活を思い出すんだろうなあ。
さて、さっさと転出手続きは済ませたのですが、一方で、転入手続きをするタイミングはうまくつかめず、4月11日木曜日、会社を早退してようやくウチの地元の役所に行くことができました。
同時に介護認定の手続きもできました。
介護認定のためには、担当者が家に来て実際に母と面談する調査を受ける必要があります。
その面談日は5月15日に決まりました。
まだ1カ月以上あります。
それまで、どうすればいいのでしょうか。
困って、同僚に話をききました。
この同僚は遠方に住むご両親を介護しています。
いろいろ教えてもらいましたが、特に強調されたのが
「ケアマネと施設は自分で選べるので、早く探した方がいい。選ぶ際には、自分で実際に見たり会ったりするのが重要」
ということ。
でも、どう探すのがいいのでしょう。
その同僚の場合、最初に見つけた施設は見るからに劣悪だったそうです。
遠方なので、休みを利用した施設探しに時間的余裕はなく、一旦は入所させたものの、そこから別の施設探しを始め、今は満足のいく施設に移すことができたとのこと。
いい施設を見つけるターニングポイントとなったのが、その地域の元看護師さんと知り合ったことだった……という話です。
でも、私は自分の住む地域周辺の施設やケアマネ事情に詳しい人の心当たりはなく、せいぜいネットで施設を検索するくらいしか思いつきません。
すると同僚は、知り合いの保健師さんを紹介してくれました。
保健師さんのネットワークで、私の家周辺の地域に詳しい人を紹介してもらえればと思ってメールしてみました。
すると、すぐにお返事をくださいました。
意外にも施設探しのアドバイスをしてくれるようです。
- 母の性格や希望
- 認知度、介護度あるいは生活能力
- 私の希望や費用
を問われました。
結果的には具体的な提案をいただくことはできなかったのですが、この時の質問は、その後の施設探しの中でも必ず聞かれることなので、自分の中で整理することができてよかったです。
この保健師さんからは老健施設や特養をすすめられ、「その場合は地域によって利用できるところが決まるので、ケアマネさんが情報を持っている」と教えてくれました。
まずは、地域包括支援センターに行ってみることにしました。
親優先か、自分の都合か
3月25日月曜日に母のMRIの検査をして、29日金曜日、結果を聞きにいつもの内科クリニックへ行きました。
するとそこで「専門医に診断してもらう方がいい」と総合病院の神経内科を紹介され、そのまま車で20分ほどの総合病院へ。
さらに心電図と血液検査をして、ようやく診断。
3月上旬から中旬ごろに脳梗塞を起こしたそうです。
3月上旬から中旬。
私が母の元を訪れた給湯器取り付けの日は3月10日でした。
発症直後だったのかもしれません。
幸い、手足や言語に障害は出ていませんが、脳梗塞によって失われた機能は取り戻せません。
記憶障害は元に戻りません。
さらに脳自体の萎縮も見られるとのこと。
治療としては、脳梗塞を再び起こさないための投薬ということになりました。
さて、この先どうするか。
いずれにせよ、母が一人暮らしに戻る道は完全に閉ざされたと言っていいでしょう。
私の家に引き取り、私と夫で、とにかく食事と薬の管理をしなければ。
2人とも不規則な勤務なので、朝夕の食事を必ずどちらかが担当できるように、取り急ぎ、仕事のシフトを調整しました。
さらに、介護認定を急ぐ必要があります。
しかしここで大きな問題が。
母が住んでいた自治体で手続きをするか、私たちの住む自治体にするか。
母のことを考えるなら、住み慣れた場所で介護サービスを受けたり通院したりする方がいいのかもしれません。
特に認知症には、環境の変化はよくないらしいし。
でも、世話をする私たちにとっては、近いに越したことはないのです。
手続きの度に実家のある自治体の役所まで行くのはたいへん。
やっぱり近い方がいいと思います。
「こっちに引っ越しちゃってもいい?」
と聞くと、母は意外にもあっさり同意しました。
「○○さんもボケちゃったし、△△さんも入院したし、もういいや」
ふーん。
結構冷たい。
脳梗塞後のトラブルで近所の人たちから何か言われたのかもしれません。
あるいはその前から何かトラブルがあったか。
まあ、こっちにとっては渡りに船なので、母の気が変わらないうちに転居の手続きをしちゃいます。
委任状に母に自筆で名前や住所などを書かせるのが一苦労でしたが、何とか書かせて、一連の手続きを済ませました。
この「親の気持ち優先か、自分たちの都合優先か」という問題は、この後もたびたび発生します。
私は基本的に自分の都合を優先しています。
冷たいようですが。
たいした介護はしていないのに、仕事との両立は思いのほかしんどいのです。
無理して私が倒れたりしたら、介護どころではなくなるし。
仕事を辞めて介護に専念なんてしたら、あっという間にお金がなくなって、生きていけなくなるし。
とにかく、共倒れを避けるのが重要と割り切って、自分優先で判断しています。
食事せず薬も飲まず
変調をきたした母をウチに一泊させて分かったのは、一人暮らしはもう無理ということでした。
認知症的な症状のために、薬を自分では飲むことができなくなっていました。
ウチに来る時、薬は持ってきたのですが、いつ何錠飲めばいいの分からず「飲まなくていいや」と放棄。
目薬に至っては自分の部屋のどこに置いたかもわからず、見つけられませんでした。
食事もほとんど摂っていないようです。
目の前に食事を用意しても食べないので、「食べて」と勧め続け、ようやく少し食べました。
しばらくこんな感じだったのでしょう。
体調は悪化し、数歩歩くと休むような衰えぶりです。
食べて薬を飲めば少しは改善するでしょうが、そのためには誰かが介助する必要があります。
今までのような一人暮らしは、もう無理だろうと思いました。
翌3月22日金曜日の朝、母の家に戻りました。
私も夫も仕事を休んで緊急対応。
地域包括支援センターの担当者と面会します。
担当者は地域で決まっているそうで、前日に電話に出た人とは別の、男性のケアマネさんが家まで来てくれました。
まず私から、給湯器取り付けの日に感じた異変や、近所の人から聞いた鍵の話を説明しました。
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「それまでは一人暮らしで問題なかったんですけどねー」と、ちょっと言い訳がましく言ったりして。
ケアマネさんから「通院している病院や飲んでいる薬は分かりますか?」と聞かれたので、診察券とお薬手帳を見せました。
母はお薬手帳、診察券、保険証、血圧手帳を一冊のファイルにまとめ、認印と一緒に袋に入れていたのです。
これは本当に助かりました。
この後、さまざまな手続きをすることになるのですが、ほぼこれで事足りました。
ケアマネさんもこのファイルを見て「これはスゴイ」と感心。
こういった情報が分からなくて困ることもことも多いんだろうな、と、この時ばかりは母を心の中で褒めました。
お薬手帳を見ると、最後に通院したのが2月20日。
私が最初に変調に気づいたのが3月10日ですから、その20日ほど前です。
母の家からクリニックまで、私の足でも10分以上かかります。
つまり母は、20日前にはまだかなりしっかりしていたのです。
ケアマネさんは母としばらく話した後で「急な症状なので、何かご病気の可能性もあると思います」と、内科の診察を勧めてくれました。
病気?
私は勝手に、認知症が始まった、あるいは急に進んだのかと思っていましたが、その陰になんらかの病気があったのかもしれません。
ちょうど母の行きつけの内科医が、介護認定の意見書を書ける指定医だったので、まずはそのクリニックに行くよう言われました。
内科に行き、事情を説明して診察してもらうと、その場で近くの総合病院に電話してMRIの予約をしてくれました。
週明け25日月曜日、夫と共にまた会社を休んで検査の付き添いです。
内科の後は眼科に行きました。
母は元々緑内障がかなり進んでいて、失明一歩手前の状態。
進行を抑えるため目薬が必要です。
両方のクリニックで処方箋を出してもらって、とりあえず、食事と薬の管理をする日々が始まりました。
鍵が開けられない
母のナゾの言動から10日後の3月20日。
仕事中、18:00ごろ社有スマホに電話がかかって来ました。
見覚えのない電話番号。
普段なら出ないのですが、この時は仕事に関する電話を待っていたため、ためらわずに出ました。
すると。
「あー、出てくれて良かった! お母さんがたいへんなことになってるんですよ!」
嫌な予感……。
女性は団地の同じ階の人だそうです。
一生懸命話してくれるのですが、気が動転しているのか要領を得ません。
母が何かたいへんなことをしでかして、近所の人たちが集まって大騒ぎになっているのか?
一瞬身構えましたが、よくよく聞いてみると、何の事はない。
要するに、この女性が母を訪ねたのに、母は室内から鍵を開けることができなくて、大騒ぎして鍵を何とか開けた、ということでした。
今すぐに来て!という話ではなかったので、一安心。
この日は夜勤で簡単に抜け出せる状況ではなかったため、丁重にお礼を言い「近いうちに対応する」と約束して、電話を切りました。
しかし、室内から鍵を開けられなくなるとは……。
鍵はツマミを回せば開く極めてシンプルなタイプです。
何十年も住んでいて、ずっと使ってきた鍵なのに、それが開けられなくなるなんて。
10日前のナゾの言動を思い出しました。
あの時もやっぱり明らかにおかしかった。
電話の女性は「今回が初めてではない」と言ったので「いつごろからですか」と尋ねると「10日くらい前にも同じようなことがあった」と言っていました。
やっぱり10日前か……。
そのころ急におかしくなったのでしょうか。
夜勤を終えて翌21日の未明に帰宅、昼過ぎ起床。
木曜だけど、春分の日なので私も夫もお休みです。
夫に事情を話し、ネットでいろいろ調べながら善後策を講じました。
とにかく近いうちに何とかしなくちゃいけないのは間違いありません。
ただ、私は金・土と仕事なので、とりあえず日曜に母のところへ行くことにしました。
そして、その夕方。
予約していたマッサージに行って、終わったところでスマホを見ると、夫からメッセージが。
「お母さんから電話が来た。行かないとマズイから帰ってきて。近所の人が来てるみたい」
また何かやらかしたのか!と思い、夫と二人で急ぎ駆けつけると、母は一人で静かに部屋にいました。
近所の人に囲まれて訳の分からないことを叫んでいるような事態を想像していたのですが、思いのほか普通。
ただ、なんだかぼんやりしていて、周囲で起きていることが何も分かっていないかのようです。
どうすればいいか分からなかったので、ネットで見つけた「地域包括支援センター」に電話してみました。
基本は平日のみの対応ですが、土日祝日も電話は通じます。
この時も事情を話すと「今日は無理ですが、明日朝一番で担当者が対応するようにします」と言ってくれました。
母は一人で残しておけない感じだったので、とりあえず私たちの家に連れて帰りました。
今後どうなるのか、どうすればいいのか。
「地域包括支援センター」だけが、この時の頼みの綱でした。