突然!介護生活

母親の脳梗塞により突然始まった介護生活の記録

なんとなく分かった!介護保険認定の謎

 
うちの母は「要介護4」と認定されました。
 
「要介護1は出るだろうけど、良くて2かなあ。間違って3が出たら特別養護老人ホームに申し込めるからラッキー」と考えていたので、かなり驚きました。
 
meinereise.hatenablog.jp
 
介護保険認定と、謎を解く手がかり「認定調査票」についてまとめてみました。
 
要介護度は高めに出るとサービスの幅が広がります。母の場合を分析すると、コツみたいなものも少々見えてきました。
 
 
<目次>

 
 
 

介護保険認定の手順

 
介護保険認定の手順は、厚労省のサイトで以下のように説明されています。
 

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介護保険制度における要介護認定の仕組み

 
自治体に申請をして、通常は30日程度で認定の結果が出るそうです。
 
母の場合は、4月上旬に私の住む自治体への転入届を提出した際、同時に申請しました。年度初めのためか混雑しており、訪問調査まで1カ月以上かかって結果が届いたのは6月初旬。結局2カ月近くかかりました。
 
要介護度判定の根拠となるのは「主治医の意見書」と「心身の状況に関する調査」です。
 
 

主治医の意見書は誰に頼む?

 
主治医の意見書の書きぶりは医師によって差があるらしく、「介護度を上げる意見書を書いてくれる医師」が存在するとか。
 
介護について相談に乗ってくれた同僚も同様のことを言っており「意見書を書いてくれるドクターを紹介する」とも言ってくれました。
 
ただ、私は生来面倒臭がりなのでそこまでする気はなく、順当なところで、母の脳梗塞の診断をした医師に頼みました。
 
総合病院の若い医師なので、介護度を上げる意見書の書き方とか、そういう配慮はしないだろうと思いました(実際していないと思います)。
 
今となっては「要介護4」が出たおかげで特養の入所も決まり、結果として月々の介護費用が抑制できたことを考えると、要介護3以上を目指してもっと頑張るのがあるべき姿だったのかもしれません。
 
でも逆に言うと、別に頑張らなくても要介護4が出たわけで……。
 
介護保険認定はやり直してもらうこともできますから、認定結果に不満だった場合に、意見書を書いてくれる医師を変えるという手もありそうです。
 
 

訪問調査には介護関係者の同席を

 
もう一つの柱である「心身の状況に関する調査」は、自治体の担当者が自宅などを訪れ、本人と面談して調査します。
 
これには家族が同席して、困っていることを積極的に訴えた方がいいと思います。往々にして本人は「自分はまだ大丈夫」とアピールしたがるもの。調査員がそれを真に受けるわけではないにしても、家族がいないとそれが本当かどうかも確認できません。
 
うちの母の場合は、自宅での調査だったので、私と夫も同席。さらに利用していた小規模多機能型居宅介護のケアマネさんも同席してくれました。
 
私たち家族は「困っていることを訴えよう」と意気込んだものの、何が調査のポイントなのか分かっていないので、ケアマネさんが同席してくれたのはとっても助かりました。
 
例えば。
 
「一人で歩けますか?」と聞かれると、母は「はい、歩けます」と答えます。
 
私は、いやそんな普通に歩けるわけじゃないし、と思って「室内なら何とか一人で歩けますが、外は無理です」と少々修正。
 
すると、ケアマネさんが「ふらつきがあるので、室内でも手を引いてあげないとだめですね」とフォローしてくれました。
 
なるほど! 
 
「ふらつき」とか「手を引いて」とかの言葉は、施設を見学した時にもよく聞きました。介護の現場では普通に使われているようですが、私たちのような素人は普段使いません。
 
こんな感じのナイスフォローがかなりあって本当に助かりました。
 
訪問調査の時は、可能なら本人の状態を適切に説明できる介護関係者に同席してもらうといいと思います。
 
余談になりますが、そのためには、介護保険認定を待たずに、先に介護サービスを利用し始めてしまうことも必要ですね。
 
私は介護認定が出る前にサービスが使えるとは知らなかったのですが、地域包括支援センターで提案していただいて先行利用し始めました。
 
meinereise.hatenablog.jp
 
ここで教えてもらっていなかったら、家庭崩壊していたかもしれません。かなり煮詰まっていたので本当に助かりました。
 
 

覆された事前予想

 
訪問調査が終われば、あとは結果を待つだけ。
 
ケアマネさんのフォローがあったとは言え特別なアピールができたわけでもなく、医師の意見書も特別なお願いをしたわけでもなく、まあ普通に考えれば要介護1か2だろうなあと思っていました。
 
なぜそう思ったのか?
 
ネット上のあちこちで見かける「目安」を根拠に、そう考えていたのです。
 
たいていこんな感じ。
 

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よくわかる介護保険と利用料金 | ニチイの介護サイト

 
これを見ると、母は明らかに要介護1か、せいぜい2です。
 
立ち上がりや歩行は「不安定」あるいは「自力では困難」のどちらか。排泄は大丈夫。入浴は一部介助。
 
要介護3や4には全く至っていません。
 
 

厚労省が示す基準

 
一方、厚労省のサイトを見ると上のような目安は記載されていません。
 
www.mhlw.go.jp
 

要介護認定は、「介護の手間」を表す「ものさし」としての時間である「要介護認定等基準時間」を下記基準にあてはめ、さらに痴呆性高齢者の指標を加味して実施する
 
介護保険制度における要介護認定の仕組み

 
と書かれています。
 
つまり「介護の手間」を時間に換算して認定するということです。
 
要介護の「状態像」も書かれていますが、要介護1なら「要支援状態から、手段的日常生活動作を行う能力がさらに低下し、部分的な介護が必要となる状態」と、かなり漠然とした表記になっています。
 
これを具体的に分かりやすく言い換えたものが上の「目安」なのかもしれません。
 
 

認定調査票を取り寄せる

 
特別養護老人ホームに入所申請をする際、いくつかの施設から「認定調査票」の提出を求められたので、自治体に請求して取り寄せました。
 
これを見ると、なぜ「要介護4」と判定されたのか、なんとなく分かりました。
 
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「状態像」より「基準時間」で判断

 
写真の左側中央のグラフが「介護の手間」の時間。「介4」(要介護4)まで延びています。
 
その上に「要介護認定等基準時間」が93.6分と書かれています。
 
おそらくこれが「要介護4」の最大の根拠なのでしょう。
 
その上には、コンピューターによる「一次判定結果」が要介護4、最終結果である「二次判定結果」も要介護4と記されていますが、その横に「(要介護1)状態像」とも書かれています。
 
やっぱり、厚労省のサイトにある「状態像」に当てはめると母は要介護1ということでしょうか。でも認定には基準時間が優先されるようです。
 
写真の右側には訪問調査の結果が項目ごとに記されています。内容としては、調査の時の話がきちんと反映されていて順当な感じです。
 
 

日常生活自立度

 
写真の左下には「日常生活自立度」という項目があります。
 
 

認知症高齢者自立度

 
「認知症高齢者自立度」が、医師は「Ⅱb」、調査は「Ⅲa」。
 
これは何だろう?

写真の書類とは別に「特記事項」という書類が3ページあり、調査結果の判断基準が手書きで書かれていました。その中にこの判断についての記載もありました。
 
「服薬管理できず、作話がある、衣類を準備しても着る順番を指示しなければ着替えることができない。Ⅲaを選択」
 
確かに、医師にはここまで話していませんから、こういう点は訪問調査で詳しく調査、判断してもらえるということですね。
 
認知症高齢者自立度については、厚労省のページ(PDF)が見つかりました。
 
https://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-11-11d.pdf
 
ローマ数字でⅠ〜Ⅴの5段階のうち、ⅡbあるいはⅢaですから、いずれにせよ認知症としては中程度より軽めという判断です。
 
そういえば上の「基準時間」では認知症加算0分。母の場合は認知症自体の問題より、それによって日常の生活が自分で管理できないことが重く判定されたとみられます。
 
 

障害高齢者自立度

 
もう一つの「障害高齢者自立度」は医師も調査も「A1」です。これも厚労省のページ(PDF)があります。
 
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000077382.pdf
 
「寝たきり度」のことなんですね。
 
「A」屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出しない。
 
「1」介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する。
「2」外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている。
 
これはむしろ「A2」だと思うけど……。まあ大勢に影響なさそうだからいいか。
 
 

主治医意見書

 
取り寄せた資料には主治医の意見書もありました。
 
内容は、まあこんなもんだろうなあという感じ。
 
強いて言えば「転倒に注意」と2回書かれていたことが目についたくらいです。
 
ただ、正直言って、この書式で「盛る」のは、なかなか難しいのではと感じました。訪問調査と齟齬も出るだろうし……。
 
素人なので分かりませんが。
 
 

日々の営みに「介護の手間」

 
結論として、この意見書と訪問調査結果を元に要介護4と判定されたなら、要介護4が順当なのだと思いました。
 
つまり母は「状態像」としては要介護1くらいだけど、実際に介護すると手間がかかり時間を要するから要介護4、ということですね。
 
基準時間のグラフでは、食事34.2分、排泄11.6分、清潔保持11.4分の3項目が10分超えでした。
 
促さないと食べない、服薬もしない、入浴や洗顔もしないので、そういう日々の営みに手間がかかり、時間が加算されているのだと思います。
 
排泄自体は問題ありませんが、足元が危ういのでこれも見守りが必要ということで加算されたのでしょう。
 
現状で「要介護4」だとすると、今後介護度が下がる可能性は低そうです。
 
 

認定調査票の請求方法

 
認定調査票は自治体によって公表していないところもあるそうです。
 
公表していても「認定調査票」という名称でない場合もあります。うちの自治体もそうでした。
 
それでも、自治体名と「認定調査票」でネットで検索したところ、該当する手続きのページがすぐ見つかりました。
 
必要書類など手続きの詳細も自治体によって違うようです。
 
私はまず担当部署に電話で問い合わせ、郵送でもOKと言われたので、ネットからダウンロードした申請書、委任状と、免許証のコピー、切手を貼った返信用封筒を入れて申請しました。
 
窓口に行ってもその場で発行されないため、最低2回行かなくてはなりません。役所が近くにない場合は郵送が便利です。書類は1週間程度で届きました。
 
この調査票、いろいろなことが分かって興味深いので、可能なら取り寄せることをお勧めします。